September 15, 2018

理系研究者用の文章術の本は、これで決まり

私たち理系研究者は、仕事で長い文章を書く機会が多いです。長い文章とは、例えば、研究報告書や論文、研究費をもらうための申請書などです。

もし、私たちが書いた文章が不出来であればどうでしょう。書いたものは、例えば、研究成果を精査する科学雑誌の編集者や、研究費の支給を決める審査員に送られます。多忙な彼らは、意味不明の文章など読んでくれません。その結果、苦労して出した成果が論文雑誌に載らないばかりか、研究費だってもらうことができません。ですので、仕事を行うには、きちんとした文章術を学んで、意味が通る文章を書く力をつける必要があります。

文章術の本はたくさん出ており、今まで私が読んだものを下に挙げました。その中で、自分の仕事経験から理系研究者に最適だと思った本は「理科系の作文技術(中公出版)」です。

この1 冊には、理系の文章を作るための準備や方法がすべて詰まっています。基本的なことが易しい文で説明されており、文章初心者の学生さんにおすすめです。また私のような中堅の研究者にも役立ち、この本でご自分の文章力チェックができるでしょう。出版が1981年と古いですが、全く問題ありません。分厚い本でもありません。最後の章には学会発表の仕方についても要点が書かれおり、こちらも参考になります。
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以下に挙げる、Webライターや文系の人向けの文章術の本も参考になる部分がたくさんありました。


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どの本も共通して言っているのは、
1. タイトルに凝る(忙しい読者はこれしか見ない)
2. 書くべきテーマを絞り込む(何が言いたいか不明な文章はテーマが絞れていない)
3. 構成が大事(バラグラフの順番で文章の良否が決まる)
4. 見た目も大事(漢字ばかり、ひらがなばかり、は読みにくい)
5. 読み手を想像する(自分が読者になって書き、推敲をする)
でした。

ですが、本で文章術を学んだところで、すぐに上手な文章が書けるわけではありません。やはり練習が必要でしょう。

私はこのブログで文章作成の練習をしています。定期的に文章を書くことで、仕事で何かを書かなければならないときにすぐに対応ができるようにしています。これまでの経験ですが、長い時間何も書いていない状態で論文を書こうとしたとき、すらすらと文章が頭に浮かばずに完成まで多大な時間がかかったことがありました。文章術の本で書き方を学び、ブログで練習をする、はおすすめです。
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September 9, 2018

ひょっとして、自分みたいな普通の人だって天才になれる?

前回紹介した本「天才!成功する人々の法則」によると、多くの天才を調べてわかったことは、天才は才能に恵まれていたというよりも、単に「機会に恵まれていた」ということでした。もしかしたら自分も天才になれるかも、と明るい未来を感じさせてくれる本だったと同時に、自分の中での天才の定義を変えた本でもありました。

天才に共通していたのは「練習にかけた1万時間」と「タイミング(好機)」そして「想像力」でした。

1. 「練習にかけた1万時間」
(例1)モーツアルトはむしろ遅咲き
 → 6歳でピアノを始めたが、傑作が世に出るまで20年以上かかった。
(例2)ビートルズは他を圧倒する演奏時間
 → まだ売れる前、ストリップ劇場で週7日、1日8時間も演奏していた時期があった。そんなバンドは他にない。
 尚、1万時間とは、1日7時間週5日とすると5.4年間、1日2.7時間毎日とすると10年間です。

2. 「タイミング(好機)」
ビル・ゲイツ(Microsoft)も、ポール・アレン(Microsoft)も、エリック・シュミット(Google)も、スティーブ・ジョブズ(Apple)も皆同じく1953から1955年生まれ。プログラミング「1万時間」のトレーニング後にコンピュータ-革命が起き、その世界で大成功を収めました。生まれる時期がもっと前後していたら、革命の時期を逃してしまい成功はなかったでしょう。

3. 「想像力」
ノーベル賞受賞者の出身校は超一流校ばかりではありません。ハーバード大学だけでなく、ノートルダム大学やイリノイ大学出身者もいます。ノーベル賞が取れる条件としては、IQよりも「想像力」が大事だとのことです。

「想像力」を説明するのに「ディヴァージェンス・テスト」について述べています。以下のようなテストです。

Q: 次の使い道を思いつく限り書き出してみなさい。
(1) レンガ
(2) 毛布

→ A1: ある名門校に通う、学校で最も高いIQの持ち主・フローレンスが出した答えは、
(レンガ)何かを建てる。投げる。
(毛布)身体を暖める。覆って火を消す。木に結びつけて寝る(ハンモック)。即席の担架。

→ A2: 別の生徒、プールが出した答えは、
(レンガ)店のウィンドウ破りに使う。家の崩壊を防ぐ道具。危険な遊びをしたいが、身体も鍛えたいときの武器(相手と背中合わせに立ち、それぞれがレンガを手に持って逆方向に一〇歩歩く。振り向いて、レンガを投げる ─レンガをよけるのは反則)。掛け布団の四隅に括りつけ、羽毛布団がベッドからずり落ちるのを防ぐ。コーラの空きビンを割るときに使う。
(毛布)ベッドで使う。森で不純異性行為するとき、見つからないよう被って隠す。テントの代わり。燃やしてのろしをあげる。船やカートやそりの帆。タオルの代用。近眼の人が射撃を練習するときの的。燃えあがる高層ビルから飛び降りた人を受けとめる。

フローレンスとプール、どちらが研究職のような創造力を必要とする仕事に向いているのかは言うまでもありません。ちなみに、ノーベル賞とは別の話ですが、IQが特別高かった子どもたちを追跡調査した結果、驚くほど多くの者が期待はずれの職業に就いていたそうです。

最後に、「4. 謙虚さ」も仕事で成功するための条件として付け加えたいです。この本では、権威を重視する機長に副機長がものを申せなかったことで起こった複数の航空機事故を挙げています。

部下を信頼し、謙虚に自分の立場を少し低くして、誰もが遠慮なく話せる雰囲気をつくることで、自分に必要な情報がどこからでも集まるようにしておくべきだ、ということでしょう。
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