August 29, 2018

自分の価値を上げる方法。今の時代に合ったキャリア形成とは。

団塊ジュニア世代の私は、良い大学を出て良い会社に入れば人生は安泰だと親や先生から教えられてきました。現在は良い大学(?)を出ても、良い会社(?)や安定な仕事に就くのは難しくなっています。

運良く大手企業などに就職できて、自分用のキャリア(仕事経験)が所属組織から用意される場合は別ですが、自分に合う仕事を続けるには、適切なキャリアを自分で考える必要があります。その過程で自分の価値を上げ続けられると、その次の仕事を選ぶときに自由度が増すでしょう。

ここに挙げる3冊の本から、今の時代では良質なキャリア形成のために以下の3つのキーワードを実行しておくことがよいだと思いました。

①「1万時間の法則
②「キャリアの掛け算
③「マーケット感覚

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①「1万時間の法則」
天才が誕生する条件は才能ではなく、「練習量が圧倒的に多くなる環境」だと、ビートルズやビル・ゲイツなどを例に挙げて著者は述べています。普通の人でも1万時間の練習をすれば、そのコミュニティの中で専門家になれるとのことです。1万時間とは、1日7時間週5日とすると5.4年間、1日2.7時間毎日とすると10年間です。

②「キャリアの掛け算(レアキャラ化)」

August 23, 2018

任期付きの若手研究者が海外経験をしないリスク

少し古いデータですが、2011年の調査によると、大学等に勤める生命系の任期付き研究員(ポスドク等)のうち、海外での勤務経験がない人は78%にのぼるそうです(2割しか海外経験がない)※。

※ 日本学術会議基礎医学委員会:提言 生命系における博士研究員(ポスドク)並びに任期制助教及び任期制助手等の現状と課題(2011年)(http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-t135-1.pdf

海外経験済みの研究者からはよく海外に行くメリットが語られます。ですが、ここでは海外に行かないリスクを考えてみました。

海外経験を積まないリスクは、次の3つが考えられます。

(1) 英語に慣れないリスク
日本国内に居ると英語を使う機会が少ないにもかかわらず、英語ができないとこの仕事はできません。私が勤める国立(独立行政法人)の研究所には外国人の研究者がしょっちゅうやってきます。そのたびに彼らと英語でディスカッションをしなければなりません。英語での講義なども普通にお願いされます。さらに、定期的にある海外での学会発表も必須です。この状況は大学も同じだと思います。

(2) 他の人との差別化ができないリスク
8割もの日本人研究者に海外経験がありません(2011年)。そこを敢えて海外に出てみることで、コモディティ化(他との差別化ができずに市場価値の低下を招いた状態)が避けられ、海外経験をした、というだけで、していない人よりも希少性が出ます。

(3) 研究者の求人に応募できないリスク
研究者の国内求人サイトJRECINを見ると、多くの求人の応募条件に「海外経験有りが望ましい」とあります。一つの求人に多数の応募者が殺到すると聞きますから、「望ましい」とは「必須」と置き換えてもいいでしょう。

海外に出ることはハイリスクとも言われますが、以上のように考えると、実はリスクはローあり、研究者として生き残るための一つの戦略になり得ます。特別な事情(例えば、日本国内ですでに他を圧倒する研究業績を持っている、日本国内でしかできない研究をし続けるつもりだ、など)がない限り、海外に出て日本国内では決して得られない新しい経験を積むのが良いでしょう。

私は日本の大学・大学院を修了後、日本の民間企業や日本の大学で任期付き研究員として働き、その間に勇気を出して欧米に就職活動をし、その後アメリカ・テキサス州の医科大学にポスドク職を得てそこで約6年間働きました。

昨年、日本の研究機関の職に就きましたが、仮にこの職に就いてなかったとしてもアメリカでの経験は他の場所で生きていたと想像します。

繰り返しますが、研究の業務内容や日本人研究者の取り巻く環境を考えると、若手研究者が海外経験を積まないリスクは大きそうです。

【これを書くのに参考にした図書】
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August 19, 2018

研究アイデアのつくり方の一般法則

新しい研究テーマを考え出さなければならないのに、机の上に何時間座って考えても全然思いつかない...。独創的で誰もが驚く結果をもたらすビッグなテーマを創らなくちゃ、と意気込めば意気込むほど出てきません。すらすらとアイデアが出てこない自分は研究者に向いてないのかなぁ...と思うこともしばしばです。

アイデアが出てこない。そんな悩みを解決できないかと、それに関する本を探して読んでみました。ここに5冊を挙げましたが、これらはすべて基本的に同じことが書いてありました。新しいアイデアとは、何もない状態から突然出るものではなく、既存のものの組み合わせから生まれる、とのことです。

① アイデアのつくり方(CCCメディアハウス)
ジェームス W.ヤング (著)、竹内 均 (解説)、今井 茂雄 (翻訳)
→ 原書の初版が刊行されたのは1940年だそうで、以下の本の多くはこの本を参考に書かれているようです。アイデアの一般原理は2つ。「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」、「要素の組み合わせを作り出す才能は、事物の関連性をみつけだす才能に依存する」。

→ 古い本なのでご存知の方も多いかもしれません。「無から有を生ずるような施行などめったにおこるものではない。すでに存在するものを結びつけることによって、新しいものが生まれる」 「ありふれた素材と素材とが思いがけない結合をおこして、新しい思考を生み出す。発想の妙はそこにあるというわけである。」。①の本と同様のことが書いてあります。


③「0から1」の発想術(小学館) 
大前研一 
→ 世界的経営コンサルタントの大前研一さんの本です。「新しいアイデアの生み出し方、ニュー・コンビネーション。既存の2つのものを足してみる。足したことで、価格と価値がいかに変化するか。」

④ アイデアが枯れない頭のつくり方(CCCメディアハウス)
高橋晋平 
→ 10年くらい前に∞(むげん)プチプチというキーチェーン型のおもちゃが流行りました。それを生み出した方の本です。法則は「(既存のA) X (既存のB) = (全く新しいC)」。 

⑤「ない仕事」の作り方 (文春e-book)
みうらじゅん
→ 「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親であり、驚異的なネーミングセンスを持つ著者。本書でもそのセンスが節々に登場しており、例えば、「一人電通(企画、収集、ネタ考案、営業、接待をすべて一人でこなす仕事形態)」、「ナミー&ハギー(秋田のなまはげを模したキャラクター)」、「地獄表(こんなに待たされてまるで地獄だな、と思わせる一日に数本しかないバスの時刻表)」、「フィギュ和(フィギュアと和風を掛け合わせた日本人形)」、「いやげ物(もらったら困るいやな土産物)」、「不安タスティック!」。天才です。①の本を法則を踏襲しています。

ですので、研究の新しいテーマを考え出すときは、
(1) 自分が持つ要素をリストアップ(知識、経験、できること)
(2) 自分にない要素を仕入れる(論文を読んだり学会に参加する)
(3) (1)と(2)の要素を組み合わせる
(4) 組み合わせてみて、できたものを評価する(意味があるか?テーマとなるか?)
(5) (1)から(4)の繰り返し

これが私が考える、新しい研究アイデアの生み出し方の一般法則です。

これを書いていて思い出したのは、2009年ののりピー(酒井法子さん)が麻薬を使用して逮捕、というニュース。当時、「のりピー」と「麻薬使用」の組み合わせは私自身全く想定外でして、世間にも強いインパクトを与えました。アイデアとは違いますが、この事件は既存のもののの組み合わせから生まれたビッグヒット、意外性の一例でしょう。
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August 16, 2018

普通の人が普通に行える資産運用について。私も始めています。

自分は大したお金もないし、資産運用なんてまるで無関係と思っていました。しかし、iDeCoやNISA、積立NISAなどの一部の私的年金制度や投資信託を利用すると税金控除が受けられると聞き、まずはiDeCoと積立NISAを始めてみました。当面のメリットとして、次の年末調整時に少しお金が戻ってきます。iDeCoに預けているお金が税金控除対象となるからです。

投資や運用というと何となくネガティブなイメージだし、ギャンブル好きか、お金をたくさん持っている一部の人だけのものと思いがちです。ですが、税金控除(iDeCo)や減税(積立NISA)を受けられる、ということは、国が各個人に資産運用の利用を促していると言えるでしょう。これは、高齢化や人口減少による年金制度の大幅な変更が予想されるので、各自それに備えてください、という国からのメッセージだと思います。

先日、数名の同僚にこの資産運用の話をしてみました。彼らが言うに、投資は危険なのでやらない、老後の自衛策としては個人的に貯金することが一番、とのこと。将来のことは誰もわからないですし、どの考えが正しいということはありません。

資産運用を始めて約一年経ちました。良かったことは、
(1) 預けたお金が将来どのくらい増えるのか楽しみになった。
(2) 年末調整で税金がいくら返ってくるかも楽しみ。
(3) 投資したお金の額が毎日上下する。それを見るのが楽しい。
(4) 社会と市場、金融、経済について学べている感じがする。視野が広がった。
(5) 世の中の将来を想像するようになり、同時に自分の研究分野の将来も予測するようになった(マーケット感覚と言うのでしょうか。仕事の組み立て方が変わった)。

悪かったことは、
・現時点では投資資金がマイナス
(ただし、景気は長期的に上昇するという原則から、いつかはプラスに転じる)

iDeCo、積立てNISAから始まり、今はロボットアドバイザーであるウェルスナビとTHEO(テオ)も始めています。これらはすべて毎月の投資額(1万円から2万円)を決めて設定し、放置するだけです。ファンドマネージャー、あるいはロボットが全部運用してくれるのです。

少額から行う資産運用はおすすめです。

August 14, 2018

電子書籍、kindleもいいけどhontoもいい

6年前のアメリカ在住時からスマホで本(電子書籍)を読み始め、それ以来ずっとAmazonのkindle本を購入し続けてきました。しかし最近は、別の会社の電子書籍サービスであるhontoへ移行しつつあります。

きっかけはこれです。

「新規登録をするとすべての電子書籍が30%引き(最大5000円まで)」
https://honto.jp/cp/ebook/campaign/all-30off.html?cid=ip_hb_albn_01

kindleとの差、hontoを使い始めて数冊読んでみた感想は、
・kindleと同等の品ぞろえ(たまにkindleにしかない本も)
・hontoは大幅な割引キャンペーンが多い(8/6-8/8は全品20%引き、1000円以上購入の場合)
・アプリの操作性は変わらない

気づいたhontoの欠点は、
・音声で読んでくれる読み上げ機能が使えない(kindleは対応)
です。

電子書籍はhontoもおすすめです。



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