August 19, 2018

研究アイデアのつくり方の一般法則

新しい研究テーマを考え出さなければならないのに、机の上に何時間座って考えても全然思いつかない...。独創的で誰もが驚く結果をもたらすビッグなテーマを創らなくちゃ、と意気込めば意気込むほど出てきません。すらすらとアイデアが出てこない自分は研究者に向いてないのかなぁ...と思うこともしばしばです。

アイデアが出てこない。そんな悩みを解決できないかと、それに関する本を探して読んでみました。ここに5冊を挙げましたが、これらはすべて基本的に同じことが書いてありました。新しいアイデアとは、何もない状態から突然出るものではなく、既存のものの組み合わせから生まれる、とのことです。

① アイデアのつくり方(CCCメディアハウス)
ジェームス W.ヤング (著)、竹内 均 (解説)、今井 茂雄 (翻訳)
→ 原書の初版が刊行されたのは1940年だそうで、以下の本の多くはこの本を参考に書かれているようです。アイデアの一般原理は2つ。「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」、「要素の組み合わせを作り出す才能は、事物の関連性をみつけだす才能に依存する」。

→ 古い本なのでご存知の方も多いかもしれません。「無から有を生ずるような施行などめったにおこるものではない。すでに存在するものを結びつけることによって、新しいものが生まれる」 「ありふれた素材と素材とが思いがけない結合をおこして、新しい思考を生み出す。発想の妙はそこにあるというわけである。」。①の本と同様のことが書いてあります。


③「0から1」の発想術(小学館) 
大前研一 
→ 世界的経営コンサルタントの大前研一さんの本です。「新しいアイデアの生み出し方、ニュー・コンビネーション。既存の2つのものを足してみる。足したことで、価格と価値がいかに変化するか。」

④ アイデアが枯れない頭のつくり方(CCCメディアハウス)
高橋晋平 
→ 10年くらい前に∞(むげん)プチプチというキーチェーン型のおもちゃが流行りました。それを生み出した方の本です。法則は「(既存のA) X (既存のB) = (全く新しいC)」。 

⑤「ない仕事」の作り方 (文春e-book)
みうらじゅん
→ 「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親であり、驚異的なネーミングセンスを持つ著者。本書でもそのセンスが節々に登場しており、例えば、「一人電通(企画、収集、ネタ考案、営業、接待をすべて一人でこなす仕事形態)」、「ナミー&ハギー(秋田のなまはげを模したキャラクター)」、「地獄表(こんなに待たされてまるで地獄だな、と思わせる一日に数本しかないバスの時刻表)」、「フィギュ和(フィギュアと和風を掛け合わせた日本人形)」、「いやげ物(もらったら困るいやな土産物)」、「不安タスティック!」。天才です。①の本を法則を踏襲しています。

ですので、研究の新しいテーマを考え出すときは、
(1) 自分が持つ要素をリストアップ(知識、経験、できること)
(2) 自分にない要素を仕入れる(論文を読んだり学会に参加する)
(3) (1)と(2)の要素を組み合わせる
(4) 組み合わせてみて、できたものを評価する(意味があるか?テーマとなるか?)
(5) (1)から(4)の繰り返し

これが私が考える、新しい研究アイデアの生み出し方の一般法則です。

これを書いていて思い出したのは、2009年ののりピー(酒井法子さん)が麻薬を使用して逮捕、というニュース。当時、「のりピー」と「麻薬使用」の組み合わせは私自身全く想定外でして、世間にも強いインパクトを与えました。アイデアとは違いますが、この事件は既存のもののの組み合わせから生まれたビッグヒット、意外性の一例でしょう。
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