November 3, 2018

英会話学習でいちばん役に立った本と勉強法

2011年の冬、英語もろくにできないくせにアメリカのテキサス大学にポスドクの職を得て渡米しました。その後6年間そこで働きましたが、英語は今でも苦手なままです。

渡米当初は現地に友人もいなかったですし、誰かと話すといえば自分のボスと2週間に1度のラボミーティングのときだけ。ラボメンバーはボスと私以外におらず(2人ラボでした)、臨床医のバングラデシュ系アメリカ人のボスは忙しいのでなかなか話す機会がありません。生の英語に触れられるのはこれと買い物のときくらいでした。これでは英語は絶対にうまくならないと思い、家に帰って日本から持ってきた数冊の英会話本とYoutubeで勉強をしていました。

その中で最も役に立ったと思う英会話本がこれです。


英文を考えて作るのではなくて瞬間的に発せれるように、つまり、情景をイメージするだけで英文を発せられるようにするトレーニング本です。中学校レベルの短い文章しか出てきません。英会話経験がぼぼゼロであり、文字として読めば英文の意味は分かるけど話すとなると口から全く出てこない、そんな自分にはぴったりな本でした。

この本は良かったですが、最も会話力が身についたのは、やはり友達とのおしゃべりだったと思います。大学や街の英会話教室に行ったり、教会に行ったり、また職場には韓国人が多かったので韓国語もついでに学んでしまおうと教室に通ったりして、友達を職場内外に作って英会話の機会を積極的に設けました。もちろん、相手の言うことが全然わからなかったりうまく話せなかったりで、恥をさんざんかいてきたのは言うまでもありません。
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September 15, 2018

理系研究者用の文章術の本は、これで決まり

私たち理系研究者は、仕事で長い文章を書く機会が多いです。長い文章とは、例えば、研究報告書や論文、研究費をもらうための申請書などです。

もし、私たちが書いた文章が不出来であればどうでしょう。書いたものは、例えば、研究成果を精査する科学雑誌の編集者や、研究費の支給を決める審査員に送られます。多忙な彼らは、意味不明の文章など読んでくれません。その結果、苦労して出した成果が論文雑誌に載らないばかりか、研究費だってもらうことができません。ですので、仕事を行うには、きちんとした文章術を学んで、意味が通る文章を書く力をつける必要があります。

文章術の本はたくさん出ており、今まで私が読んだものを下に挙げました。その中で、自分の仕事経験から理系研究者に最適だと思った本は「理科系の作文技術(中公出版)」です。

この1 冊には、理系の文章を作るための準備や方法がすべて詰まっています。基本的なことが易しい文で説明されており、文章初心者の学生さんにおすすめです。また私のような中堅の研究者にも役立ち、この本でご自分の文章力チェックができるでしょう。出版が1981年と古いですが、全く問題ありません。分厚い本でもありません。最後の章には学会発表の仕方についても要点が書かれおり、こちらも参考になります。
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以下に挙げる、Webライターや文系の人向けの文章術の本も参考になる部分がたくさんありました。


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どの本も共通して言っているのは、
1. タイトルに凝る(忙しい読者はこれしか見ない)
2. 書くべきテーマを絞り込む(何が言いたいか不明な文章はテーマが絞れていない)
3. 構成が大事(バラグラフの順番で文章の良否が決まる)
4. 見た目も大事(漢字ばかり、ひらがなばかり、は読みにくい)
5. 読み手を想像する(自分が読者になって書き、推敲をする)
でした。

ですが、本で文章術を学んだところで、すぐに上手な文章が書けるわけではありません。やはり練習が必要でしょう。

私はこのブログで文章作成の練習をしています。定期的に文章を書くことで、仕事で何かを書かなければならないときにすぐに対応ができるようにしています。これまでの経験ですが、長い時間何も書いていない状態で論文を書こうとしたとき、すらすらと文章が頭に浮かばずに完成まで多大な時間がかかったことがありました。文章術の本で書き方を学び、ブログで練習をする、はおすすめです。
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September 9, 2018

ひょっとして、自分みたいな普通の人だって天才になれる?

前回紹介した本「天才!成功する人々の法則」によると、多くの天才を調べてわかったことは、天才は才能に恵まれていたというよりも、単に「機会に恵まれていた」ということでした。もしかしたら自分も天才になれるかも、と明るい未来を感じさせてくれる本だったと同時に、自分の中での天才の定義を変えた本でもありました。

天才に共通していたのは「練習にかけた1万時間」と「タイミング(好機)」そして「想像力」でした。

1. 「練習にかけた1万時間」
(例1)モーツアルトはむしろ遅咲き
 → 6歳でピアノを始めたが、傑作が世に出るまで20年以上かかった。
(例2)ビートルズは他を圧倒する演奏時間
 → まだ売れる前、ストリップ劇場で週7日、1日8時間も演奏していた時期があった。そんなバンドは他にない。
 尚、1万時間とは、1日7時間週5日とすると5.4年間、1日2.7時間毎日とすると10年間です。

2. 「タイミング(好機)」
ビル・ゲイツ(Microsoft)も、ポール・アレン(Microsoft)も、エリック・シュミット(Google)も、スティーブ・ジョブズ(Apple)も皆同じく1953から1955年生まれ。プログラミング「1万時間」のトレーニング後にコンピュータ-革命が起き、その世界で大成功を収めました。生まれる時期がもっと前後していたら、革命の時期を逃してしまい成功はなかったでしょう。

3. 「想像力」
ノーベル賞受賞者の出身校は超一流校ばかりではありません。ハーバード大学だけでなく、ノートルダム大学やイリノイ大学出身者もいます。ノーベル賞が取れる条件としては、IQよりも「想像力」が大事だとのことです。

「想像力」を説明するのに「ディヴァージェンス・テスト」について述べています。以下のようなテストです。

Q: 次の使い道を思いつく限り書き出してみなさい。
(1) レンガ
(2) 毛布

→ A1: ある名門校に通う、学校で最も高いIQの持ち主・フローレンスが出した答えは、
(レンガ)何かを建てる。投げる。
(毛布)身体を暖める。覆って火を消す。木に結びつけて寝る(ハンモック)。即席の担架。

→ A2: 別の生徒、プールが出した答えは、
(レンガ)店のウィンドウ破りに使う。家の崩壊を防ぐ道具。危険な遊びをしたいが、身体も鍛えたいときの武器(相手と背中合わせに立ち、それぞれがレンガを手に持って逆方向に一〇歩歩く。振り向いて、レンガを投げる ─レンガをよけるのは反則)。掛け布団の四隅に括りつけ、羽毛布団がベッドからずり落ちるのを防ぐ。コーラの空きビンを割るときに使う。
(毛布)ベッドで使う。森で不純異性行為するとき、見つからないよう被って隠す。テントの代わり。燃やしてのろしをあげる。船やカートやそりの帆。タオルの代用。近眼の人が射撃を練習するときの的。燃えあがる高層ビルから飛び降りた人を受けとめる。

フローレンスとプール、どちらが研究職のような創造力を必要とする仕事に向いているのかは言うまでもありません。ちなみに、ノーベル賞とは別の話ですが、IQが特別高かった子どもたちを追跡調査した結果、驚くほど多くの者が期待はずれの職業に就いていたそうです。

最後に、「4. 謙虚さ」も仕事で成功するための条件として付け加えたいです。この本では、権威を重視する機長に副機長がものを申せなかったことで起こった複数の航空機事故を挙げています。

部下を信頼し、謙虚に自分の立場を少し低くして、誰もが遠慮なく話せる雰囲気をつくることで、自分に必要な情報がどこからでも集まるようにしておくべきだ、ということでしょう。
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August 29, 2018

自分の価値を上げる方法。今の時代に合ったキャリア形成とは。

団塊ジュニア世代の私は、良い大学を出て良い会社に入れば人生は安泰だと親や先生から教えられてきました。現在は良い大学(?)を出ても、良い会社(?)や安定な仕事に就くのは難しくなっています。

運良く大手企業などに就職できて、自分用のキャリア(仕事経験)が所属組織から用意される場合は別ですが、自分に合う仕事を続けるには、適切なキャリアを自分で考える必要があります。その過程で自分の価値を上げ続けられると、その次の仕事を選ぶときに自由度が増すでしょう。

ここに挙げる3冊の本から、今の時代では良質なキャリア形成のために以下の3つのキーワードを実行しておくことがよいだと思いました。

①「1万時間の法則
②「キャリアの掛け算
③「マーケット感覚

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①「1万時間の法則」
天才が誕生する条件は才能ではなく、「練習量が圧倒的に多くなる環境」だと、ビートルズやビル・ゲイツなどを例に挙げて著者は述べています。普通の人でも1万時間の練習をすれば、そのコミュニティの中で専門家になれるとのことです。1万時間とは、1日7時間週5日とすると5.4年間、1日2.7時間毎日とすると10年間です。

②「キャリアの掛け算(レアキャラ化)」

August 23, 2018

任期付きの若手研究者が海外経験をしないリスク

少し古いデータですが、2011年の調査によると、大学等に勤める生命系の任期付き研究員(ポスドク等)のうち、海外での勤務経験がない人は78%にのぼるそうです(2割しか海外経験がない)※。

※ 日本学術会議基礎医学委員会:提言 生命系における博士研究員(ポスドク)並びに任期制助教及び任期制助手等の現状と課題(2011年)(http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-t135-1.pdf

海外経験済みの研究者からはよく海外に行くメリットが語られます。ですが、ここでは海外に行かないリスクを考えてみました。

海外経験を積まないリスクは、次の3つが考えられます。

(1) 英語に慣れないリスク
日本国内に居ると英語を使う機会が少ないにもかかわらず、英語ができないとこの仕事はできません。私が勤める国立(独立行政法人)の研究所には外国人の研究者がしょっちゅうやってきます。そのたびに彼らと英語でディスカッションをしなければなりません。英語での講義なども普通にお願いされます。さらに、定期的にある海外での学会発表も必須です。この状況は大学も同じだと思います。

(2) 他の人との差別化ができないリスク
8割もの日本人研究者に海外経験がありません(2011年)。そこを敢えて海外に出てみることで、コモディティ化(他との差別化ができずに市場価値の低下を招いた状態)が避けられ、海外経験をした、というだけで、していない人よりも希少性が出ます。

(3) 研究者の求人に応募できないリスク
研究者の国内求人サイトJRECINを見ると、多くの求人の応募条件に「海外経験有りが望ましい」とあります。一つの求人に多数の応募者が殺到すると聞きますから、「望ましい」とは「必須」と置き換えてもいいでしょう。

海外に出ることはハイリスクとも言われますが、以上のように考えると、実はリスクはローあり、研究者として生き残るための一つの戦略になり得ます。特別な事情(例えば、日本国内ですでに他を圧倒する研究業績を持っている、日本国内でしかできない研究をし続けるつもりだ、など)がない限り、海外に出て日本国内では決して得られない新しい経験を積むのが良いでしょう。

私は日本の大学・大学院を修了後、日本の民間企業や日本の大学で任期付き研究員として働き、その間に勇気を出して欧米に就職活動をし、その後アメリカ・テキサス州の医科大学にポスドク職を得てそこで約6年間働きました。

昨年、日本の研究機関の職に就きましたが、仮にこの職に就いてなかったとしてもアメリカでの経験は他の場所で生きていたと想像します。

繰り返しますが、研究の業務内容や日本人研究者の取り巻く環境を考えると、若手研究者が海外経験を積まないリスクは大きそうです。

【これを書くのに参考にした図書】
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August 19, 2018

研究アイデアのつくり方の一般法則

新しい研究テーマを考え出さなければならないのに、机の上に何時間座って考えても全然思いつかない...。独創的で誰もが驚く結果をもたらすビッグなテーマを創らなくちゃ、と意気込めば意気込むほど出てきません。すらすらとアイデアが出てこない自分は研究者に向いてないのかなぁ...と思うこともしばしばです。

アイデアが出てこない。そんな悩みを解決できないかと、それに関する本を探して読んでみました。ここに5冊を挙げましたが、これらはすべて基本的に同じことが書いてありました。新しいアイデアとは、何もない状態から突然出るものではなく、既存のものの組み合わせから生まれる、とのことです。

① アイデアのつくり方(CCCメディアハウス)
ジェームス W.ヤング (著)、竹内 均 (解説)、今井 茂雄 (翻訳)
→ 原書の初版が刊行されたのは1940年だそうで、以下の本の多くはこの本を参考に書かれているようです。アイデアの一般原理は2つ。「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」、「要素の組み合わせを作り出す才能は、事物の関連性をみつけだす才能に依存する」。

→ 古い本なのでご存知の方も多いかもしれません。「無から有を生ずるような施行などめったにおこるものではない。すでに存在するものを結びつけることによって、新しいものが生まれる」 「ありふれた素材と素材とが思いがけない結合をおこして、新しい思考を生み出す。発想の妙はそこにあるというわけである。」。①の本と同様のことが書いてあります。


③「0から1」の発想術(小学館) 
大前研一 
→ 世界的経営コンサルタントの大前研一さんの本です。「新しいアイデアの生み出し方、ニュー・コンビネーション。既存の2つのものを足してみる。足したことで、価格と価値がいかに変化するか。」

④ アイデアが枯れない頭のつくり方(CCCメディアハウス)
高橋晋平 
→ 10年くらい前に∞(むげん)プチプチというキーチェーン型のおもちゃが流行りました。それを生み出した方の本です。法則は「(既存のA) X (既存のB) = (全く新しいC)」。 

⑤「ない仕事」の作り方 (文春e-book)
みうらじゅん
→ 「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親であり、驚異的なネーミングセンスを持つ著者。本書でもそのセンスが節々に登場しており、例えば、「一人電通(企画、収集、ネタ考案、営業、接待をすべて一人でこなす仕事形態)」、「ナミー&ハギー(秋田のなまはげを模したキャラクター)」、「地獄表(こんなに待たされてまるで地獄だな、と思わせる一日に数本しかないバスの時刻表)」、「フィギュ和(フィギュアと和風を掛け合わせた日本人形)」、「いやげ物(もらったら困るいやな土産物)」、「不安タスティック!」。天才です。①の本を法則を踏襲しています。

ですので、研究の新しいテーマを考え出すときは、
(1) 自分が持つ要素をリストアップ(知識、経験、できること)
(2) 自分にない要素を仕入れる(論文を読んだり学会に参加する)
(3) (1)と(2)の要素を組み合わせる
(4) 組み合わせてみて、できたものを評価する(意味があるか?テーマとなるか?)
(5) (1)から(4)の繰り返し

これが私が考える、新しい研究アイデアの生み出し方の一般法則です。

これを書いていて思い出したのは、2009年ののりピー(酒井法子さん)が麻薬を使用して逮捕、というニュース。当時、「のりピー」と「麻薬使用」の組み合わせは私自身全く想定外でして、世間にも強いインパクトを与えました。アイデアとは違いますが、この事件は既存のもののの組み合わせから生まれたビッグヒット、意外性の一例でしょう。
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August 16, 2018

普通の人が普通に行える資産運用について。私も始めています。

自分は大したお金もないし、資産運用なんてまるで無関係と思っていました。しかし、iDeCoやNISA、積立NISAなどの一部の私的年金制度や投資信託を利用すると税金控除が受けられると聞き、まずはiDeCoと積立NISAを始めてみました。当面のメリットとして、次の年末調整時に少しお金が戻ってきます。iDeCoに預けているお金が税金控除対象となるからです。

投資や運用というと何となくネガティブなイメージだし、ギャンブル好きか、お金をたくさん持っている一部の人だけのものと思いがちです。ですが、税金控除(iDeCo)や減税(積立NISA)を受けられる、ということは、国が各個人に資産運用の利用を促していると言えるでしょう。これは、高齢化や人口減少による年金制度の大幅な変更が予想されるので、各自それに備えてください、という国からのメッセージだと思います。

先日、数名の同僚にこの資産運用の話をしてみました。彼らが言うに、投資は危険なのでやらない、老後の自衛策としては個人的に貯金することが一番、とのこと。将来のことは誰もわからないですし、どの考えが正しいということはありません。

資産運用を始めて約一年経ちました。良かったことは、
(1) 預けたお金が将来どのくらい増えるのか楽しみになった。
(2) 年末調整で税金がいくら返ってくるかも楽しみ。
(3) 投資したお金の額が毎日上下する。それを見るのが楽しい。
(4) 社会と市場、金融、経済について学べている感じがする。視野が広がった。
(5) 世の中の将来を想像するようになり、同時に自分の研究分野の将来も予測するようになった(マーケット感覚と言うのでしょうか。仕事の組み立て方が変わった)。

悪かったことは、
・現時点では投資資金がマイナス
(ただし、景気は長期的に上昇するという原則から、いつかはプラスに転じる)

iDeCo、積立てNISAから始まり、今はロボットアドバイザーであるウェルスナビとTHEO(テオ)も始めています。これらはすべて毎月の投資額(1万円から2万円)を決めて設定し、放置するだけです。ファンドマネージャー、あるいはロボットが全部運用してくれるのです。

少額から行う資産運用はおすすめです。